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2013年1月

2013年1月21日 (月)

179 目標を達成したから強くなるのでなない。人は、目標を達成する過程で強くなるのだ。

今年の箱根駅伝で優勝した日本体育大学。翌日の新聞記事の中にこんなことが書いてあった。

復路は首位でタスキをつなぎ東京・大手町にゴールした◆その直後、チーム全員が整列しコースに一礼。「みなさんに支えてもらったから」と話す姿がさわやかだった◆それもそのはず。別府健至監督がこの1年指導してきたのは、あいさつやトイレのスリッパをそろえるといった生活の基本。練習前にグラウンドも清掃する◆「当たり前のことをいかにきっちりやるか。見えないところを徹底することで、ダレた雰囲気がなくなった」。(「よみうり寸評」『読売新聞1月4日』

もう一つ。今度は京都で行われる全国高校駅伝の話だ。

去年の(先月だけどね)全国駅伝に三重県代表として出場した伊賀白鳳高校のことを伝える新聞記事がある。長年同校を指導してきた町野英二先生が去年の6月にお亡くなりになったのだが、そのことについての次の新聞記事を読んでほしい。

「良き競技者である前に、良き高校生であれ」。一九七六年、伊賀白鳳の前身・上野工の監督に就任した町野さんは、自身で考えて行動する「自主自立」の精神を繰り返し説いた。

グラウンド片隅の練習用具や荷物は一つの乱れもなく、整然と並ぶ。あいさつも、指先まで伸ばした手をももの横に付け、深々と頭を下げる。当初は県予選でも低迷していたチームを全国駅伝二十三回出場、最高四位の名門に育てた。

(中略)

(現監督である)中武監督は言う。「何もなかったかのように、以前と変わらず練習に取り組んでくれた。これが、先生の求めていた強さなんでしょうね」。(「恩師への思い胸に全国高校駅伝へ 伊賀白鳳高男子陸上部」『中日新聞2012年12月22日』)

この新聞記事は本番のレース前の記事である。本番のレースでは伊賀白鳳高校は、ゴール前のデッドヒートを制して、過去最高の3位に輝いた。監督の逝去を乗り越えて、過去最高の成績を収めた選手たちの心の強さに感銘を受けた。

なぜ、競技だけではダメなのだろうか。なぜ掃除などをきちんとやることが競技力につながるのだろうか。

この学級通信でも、以前、012 大舞台になるほど私生活が結果に出る というお話を紹介した。2009年の夏の甲子園大会で優勝した沖縄県興南高校のキャプテン我如屋さんの話だ。

「朝起きてから寝るまで、何一つ手を抜かない。『大舞台になるほど、私生活が結果に出る』と思うからだ。」とあった。

有名な陸上競技の指導者であった原田隆史先生は、掃除などの奉仕活動は心をきれいにするだけではなく、心を強くするものだと言っている。そして、自分にできることをどれだけ長く続けたかということが、心の強さに比例しているのだという。(『夢を絶対に実現させる方法!』)

原田先生は、エベレスト登頂に成功した人に、こんな質問をした。

「エベレストに登頂するというすごい目標を達成したら、心は強くなりましたか?僕はならないと思うんですけど、どうですか?」

これに対して、登山家はこう答えた。

「同感です。でも、エベレストに登って、やっぱり僕の心は強くなったんです。登頂するためのプロセスで、心は強くなったんです」

これを聞いた原田先生はこう述べている。

これは、大発見でした。つまり、エベレストに登るために何年にも及ぶ計画を立てて、それにしたがって毎日を懸命に過ごす。その日々の努力の継続で、心は強くなるというのです。

スリッパをきちんとそろえる、きちんとあいさつする、などの自分にできることを、気分が乗っているとき、機嫌がいいときだけではなく、常に続ける。その継続が心を強くするんだなあ。

そういえば、メジャーリーグの松坂大輔投手は高校球児だったころ、次の言葉に出会い、その後の松坂選手の座右の銘になった。

目標が、その日その日を支配する。(※1)

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(※1)『Wikipedia』「松坂大輔」

2013年1月13日 (日)

178 格闘ゲームの世界チャンピオンが教えてくれる、自信をつける方法 その②

前回の学級通信でも紹介したように、梅原さんは小学校時代は腕力が強かった。しかし、中学校に入学すると友人たちは部活などに取り組む、いわば「健全な」中学生になっていく。

小学校の時は、腕相撲でもかけっこでも、だれにも負けない梅原さんだったが、中学校2年生の時には、こんな出来事があった。君たちがよく教室でやっている腕相撲だ。

以前の梅原さんなら、教室で何人かが腕相撲を始めたら、「おう、お前ら、やってるな」と横綱気分で参戦していけたのだが、中学校2年生ともなると状況が一変していた。部活に励んで、どんどんたくまくしくなっていく同級生に勝てる気がしなくなったのだ。

小学校の時は平気で負かしていた友達に、「梅原、勝負しようぜ」と挑まれるありさまだ。それどころか、「いや、今日は腕が痛いから・・」と、負けるのが怖くて逃げる自分になっていたのだ。

そういう言い訳も通用しなくなり、ある日、とうとう腕相撲をさせられることになる。梅原さん曰く、明らかに弱そうな、教室の男子で10番目ぐらいの強さの友達を相手に選んだのだが、その友達にもあっさりと負けてしまう。ゲームばかりして、ご飯もろくに食べなかった梅原さんと、部活で鍛えた友達たちとの力関係は逆転してしまったのだ。

友達は聞く。「ウメ、なんでこんなに弱くなっているの?」

梅原さんは、このときの屈辱感を今でも思い出すことがあるという。

こんな屈辱感から梅原さんはどうやって立ち直ることができたのか。

結論から言えば、ゲームをとことんまで追求することにしたのだ。梅原さんはこう語る。

俺は部活もしなければ勉強もしない。代わりにゲームをしている。それならば他の人間が部活や勉強に注いでいるのと同じぐらいの、いいや、それ以上のやる気と情熱を持ってゲームに向き合わないと、あまりにもかっこうわるいじゃないか。 (※1)

ゲームのプレイ時間を増やしただけではない。分析と攻略にも時間をかけた。野球やサッカーでプロを目指している人たちと比べても恥ずかしくないと思えるくらいに打ち込んだ。

梅原さんは自信を得た。それは、ゲームが強くなったからではない。

自分が「ゲーム」という厳しいフィールドを選び、高みを目指して、徹底的に技術を追求しているのだという、自分の取り組みに対する自信である。

梅原さんは次のように言っている。

苦手なことにも臆せずぶつかって、真摯に克服していったことで自信がつき、一人の人間として堂々と振る舞えるようになったのだ。「俺は、誰に見せても恥ずかしくない努力をしている」と。 (※2)

そうなんだ。私自身も、これまで劣等感を感じたのは、「口で偉そうなことをいくら言ったって、自分自身は少しもがんばってないじゃないか」と思い知らされる時だった。自分がどういう取り組みをしてきたかは、自分が一番よく分かっている。

ところで、私は梅原さんが、著書の中で、格闘ゲームの「練習」をするという表現を多く使うことに気がついた。

みなさん、ゲームの「練習」なんですよ。つまり、気分が乗らない時でも、自分から取り組むということだ。

実際、梅原さんは365日のうち、363日ゲームの練習をする。残りの二日はおおみそかと元旦。この二日間は家族との時間を大切にしているそうだ。

人はどう思おうと、自分はやっている。これが本当の自信と言えるのだ。梅原さんの本を読んでそう思えてきた。

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(※1)『勝ち続ける意志力』梅原大吾著 小学館eBooks

(※2)同書

2013年1月 7日 (月)

177 格闘ゲームの世界チャンピオンが教えてくれる、自信をつける方法 その①

お年玉はどのくらい貯まりましたか?何に使いますか?せっかくだから大切に実のあるように使いたいですね。私のようにお年玉を「あげる」立場の人間としては。

もし、君がお年玉でゲーム機やゲームソフトを買うと言ったら、お家の人はどんな顔をする?あなたのお金なので、「絶対ダメ」とは言われないかもしれないが、まあ、多くのご家庭では、そういい顔はされないであろう。

そして、手に入れたゲームで遊んでいると、「宿題は終わったの?」「もう今年は受験生になるのよ!」などの小言が飛んで来ることは、私の家も含めて、大いに考えられる。

これがもし、同じ勉強しないのでも、外でサッカーボールを追いかけ回したりするんだったら、そこまで文句言われないかもしれないね。

ゲームに対して、私たち大人がこういうふうにマイナスととらえる風潮の中で、対戦ゲームの世界チャンピオンになり、初の「プロ」として活躍している人がいる。梅原大吾さんという人だ。

梅原さんは去年、『勝ち続ける意志力』という本を出した。内容は、タイトル通り「一度勝つのと、「勝ち続けること」は天と地ほども違うということが語られた本である。

この本を読んだ私は、梅原さんが自信をつけていく過程にとても感動した。今回はこのことを紹介したい。

さて、梅原さんは高校生の時、アメリカで行われた「Evolution2004」という世界最大の格闘ゲームの祭典で、見事にチャンピオンになった。「Street Fighter 3rd STRIKE」というゲームなんだけど、知ってる?私は全くわからないが。

このときの大会で事実上の決勝戦と言われた、アメリカ最強のジャスティン・ウォンさんとの対戦では、圧倒的に不利な状況からの逆転勝ちを収めた。その様子はYoutubeで今も見ることができる。

そこまでになった梅原さん、5歳のときに出会った「スーパーマリオ」がゲームに没頭する生活のきっかけだった。

小学生になっても、当然生活の中心はゲーム。小学生時代の梅原さんは腕力が強く、回りの友人を力でゲーム仲間に引き込んでいったところもあったらしい。

ところが、中学校になって、これまで遊んでいた友達は部活に行くようになった。梅原さんは一人で電車に乗って、ゲームセンターに通うようになる。そして、明けても暮れても対戦ゲーム。部活で汗を流す友達は、身体も鍛えられて、だんだん梅原さんの腕力も通用しなくなる。

そして今の君たちと同じように、そろそろ「進路」というものが頭にちらつくようになる。梅原さんは次のように語っている。

ゲームに熱中している自分はおかしいと思ったし、みんなから後ろ指をさされているようないたたまれなさがあった。(※1)

こんな気持ちになった梅原さんが、どうやって自分の中に自信を育てていったのだろうか。(次号に続く)
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(※1)『勝ち続ける意志力』梅原大吾著 小学館eBooks

2013年1月 2日 (水)

176 松井秀喜選手が語る一番の思い出

先日、ある新聞記事に目が留まった。松井秀喜選手の引退を伝えるニュースだ(※1)  

この記事に意外なことが書いてあった。   

引退発表の記者会見の場で、松井選手は、20年間のプロ野球生活で一番思い出に残ることは「(巨人時代に)長嶋監督と2人で素振りした時間」と答えたのだ。   

巨人の4番バッターとして活躍した後、アメリカに渡り、2003年あこがれのヤンキースの一員になった時ではなかった。   

また、2009年にワールドシリーズでMVPを獲得し、優勝パレードの主人公の一人として、ニューヨークの数十万人の人々に迎えられた時でもなかったのだ。   

松井選手はプロ1年目から、長嶋監督の自宅で、遠征時はホテルの監督の部屋で、毎日ほぼ欠かすことなく素振りをしてきたことを一番の思い出にあげたのだ。   

以前、この学級通信でも松井選手の素振りについて取り上げたことがある。(052 松井秀喜のすごさ~ある若手選手は見た http://mikadukitusin.blog.fc2.com/blog-entry-35.html )   

松井選手は、ここ数年は両ひざの故障などで、出場機会が減ってしまい、去年7月に、タンパベイ・レイズから戦力外通告を受け、そのまま引退した形になる。

戦力外通告を受ける少し前の6月、マイナーリーグで10代の若者たちに交じって、ラストチャンスにかけて汗を流しているときも、ホテルの自室に戻ってからの素振りを続けていたという。(※2)   
   
このとき、松井選手はこう語っている。

「僕のバッティングの原点はすべて長嶋監督とやってきた素振りにある。プロ1年目からメジャーに渡ってプレーする間も、実はやっていること、目指しているものに変わりはないんです」(※3)

真摯な取り組みを20年間ブレることなく続けてきたことに改めて驚く。   

これだけではない。松井選手は周囲の人に対する配慮もブレなかったようだ。   

今季限りで引退するソフトバンクの小久保裕紀選手はこう語っている。   

打っても打てなくても、たくさんの記者に対応している姿は後輩ながら勉強になった。(※4)   

巨人の高橋由伸選手は次のように言った。   

好不調にもかかわらず振る舞いが全く変わらなかった先輩の姿に感銘を受けた。(※5)

   
松井選手のバット製作を手掛けた久保田五十一氏も次のように述べる。   

(松井選手がプロ入りして)以来20年、私たち用具担当者にも変わらず丁寧に話し掛けてくださいました。素晴らしいバットの使い手とお会いできたことに心から感謝しています」(※6)   

     

私は、自分にいいことがあったりして、機嫌がいいときには、人に優しくできる。でも、自分がおもしろくないときに、どういう自分でいられるか。

松井選手の才能は真似できないが、周囲の人に対する、このブレない姿勢は、ほんのちょっとでも真似したい。   

そう考えながら、2013年の目標を検討しようかな。   
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(※1) 『読売新聞』2012年12月29日
(※2)『“頑固”が支えたプロ生活20年――。    
松井秀喜が最後まで貫いた己の美学。』http://number.bunshun.jp/articles/-/321412?page=2)    
(※3)同サイト    
(※4)『読売新聞』2012年12月29日    
(※5)『読売新聞』2012年12月29日    
(※6)『バット職人・久保田氏「素晴らしいバットの使い手」』http://sankei.jp.msn.com/sports/news/121228/bbl12122812450005-n1.htm

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