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2012年3月14日 (水)

168 さあ入試が始まったというときに、腕時計が止まっている!!

もう今から10数年も前のことだ。市内の私立高校の入試の日のできごとだ。入試が終わって三々五々出てくる生徒たちを待っていたら、一人の女子生徒が泣きながらやってきた。 聞けば、テスト中に消しゴムを机から落としてしまい、どうしていいか分からなくなってしまった、後の問題が解けなくなってしまった、というのだ。

まあ、この女生徒の失敗に対して、「なんで、手を挙げて試験監督官に拾ってもらわなかったの」とか、「そんなこともあると考えて、消しゴムは複数持っていくべきだったね」なんてことは後になってから言えること。その子にとっては、本当に気が動転する出来事だったんだろうなあ。

この生徒の入試の結果も残念なことになってしまったのは、よく覚えている。

ところで、つい最近、うちの奥さんからこんな話を聞いた。夕方のローカル局のテレビ番組で、視聴者からのこんなお便りが紹介されたそうだ。そのお便りを書いた人は、大学入試の受験生。先日のセンター試験の時に体験したことがお便りには書かれてあった。

さあ、いよいよ本番のセンター試験が始まったというそのとき、自分の腕時計を見て、その人は顔面蒼白になった。時計が止まっている!

試験会場を見渡しても壁には時計がない。あせって腕時計を振ってもたたいても秒針は動かない。電池が切れてしまったのか。よりによって、こんな時に止まらなくても…。

その人は決心した。時間配分なんて言っていられない。解いて解いて解きまくるしかない!

そして、センター試験が終わった。結果は?自己採点をしてみると、その人にとっての自己最高点が続出。予想以上の高得点だった。

「ピンチはチャンス」などという言葉は、まさにこの人のためにある言葉と思える。勝手にこの人の思いを想像すると、きっと思いがけない不幸を前にして、一瞬のうちに覚悟を決めたに違いない。「もうやるしかない!」と。時計がないという状況が、自分でもびっくりするような集中力を生んだのだ。

やるしかない。

大学受験生と中学生を比較しちゃ可哀想だけど、最初の消しゴムで失敗しちゃった女生徒が、もし「消しゴムがなくても、しゃーない。やるしかない!」と覚悟を決めていたら、ひょっとしたら違う結果になっていたかも。これも後になってから言えることなのだが。

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