« 141 パラシュート部隊と実力テスト | トップページ | 143 小さなところでGOODになる~ビリー・ジョエルの言葉 »

2011年5月15日 (日)

142 やるかやらないか~元暴走族の予備校講師・吉野さんの言葉

今日は吉野敬介さんという人を紹介する。この人は予備校の先生(講師)で古文を教えていた。予備校というのは普通、高等学校を卒業したけど大学入試には落ちたので一年間(中には数年)勉強をするための学校である。

この吉野さんの授業は「分かりやすい」と生徒の間で人気の授業だったそうだ。「代々木ゼミナール」という東京の中でも大きな予備校の大きな教室に入れ切れないほど生徒が集まるらしい。入試直前講座の時には、徹夜してまで並んでこの先生の講義を聴きにくる生徒もいるらしい。

ところが、中学、高校生の時の吉野さんは相当な不良だったらしい。吉野さんは自分の高校生活について次のように振り返る。

オレは「今日もサイコーだったぜ」と言うために、仲間と遊びまくって過ごした。授業中にシンナーを吸ったり、腕だめしにケンカをふっかけてまわったリ、バイクを盗んで乗り回したり。いちいちオレの「悪行」を書き連ねていたら、それだけで五冊くらい本が書けそうだ。まあ、思いつくような悪いことは、だいたい全部やってきた。(『だからおまえは落ちるんだ!やれ!』より引用。以下同様)

吉野さんは高校3年生のときからつきあい始めた彼女を幸せにしたいと思い、就職活動を始めたころの自分をこう語っている。

オレは、真剣に就職先を探した。就職試験も受けたが、ほとんど落ちた。出席日数もギリギリの状態、しかも、だれが見てもパンチパーマの暴走族上がりで、眼つきはヤクザ。昔は、中卒や高卒を「金の卵」とかいって大事にしたらしいが、オレは「鉛のクズ」のように見えたに違いない。

ところが結局は彼女からもふられてしまう。ショックのあまり吉野さんは自殺まで考える。どうにか自殺は思いとどまった吉野さんは、自分の元を去った彼女に電話をかけた。彼女はこう答えた。

「やっぱり大学ぐらいは行ってくれないと・・・」

彼女の新しい彼氏は大学生だったのだ。

これを聞いた吉野さんは「オレも大学くらい行ってやろうじゃないか!」と思ったが、それでも実際には勉強はしなかった。しかし、このあと吉野さんの運命を決める決定的な事件が起こる。

それは、吉野さんが友だちと、酒を飲んだ二日酔いの頭で町を歩いていたときに、分かれた彼女が新しい彼氏と楽しそうにスポーツタイプの車でドライブしている姿を目の当たりにしたのである。

「バカにするな、くそ、なめるなよ。このやろう、絶対に大学に受かってやる。おまえの男よりいい大学に絶対に受かる。なめんなよ。見返してやるからな。おーっ。」

大学受験を決意した吉野さんだが、受験までに残された時間はあと四ヶ月。しかし、勉強らしい勉強をしていない吉野さんの当時の学力はというと・・。

9月23日、代ゼミの模擬試験を受けた。戻ってきたデータに、国語25、英語23、日本史24と、数字が並んでいた。

なんだよ、オレってけっこうカンが鋭いじゃん。何もわからなくても、適当に答を選んで、こんなに点がとれるなんて、こりゃチョロイな。この数字をはじめに見たとき、そう思った。オレはてっきり得点だと思っていたのだ。

ところが、得点じゃなかった。それにしては、答案用紙はバツだらけで、マルが一つか二つくらいしかない。おかしいなあ、と思っていたら、これが偏差値だった。

偏差値20台というのは、得点にすると4点くらい。幼稚園児が目をつぶって、全ての解答欄に3という数字を書いても絶対に4点は取れる。偏差値で20というのは、「とることのほうがむつかしい」と言われた。

ここから吉野さんの猛勉強が始まった。

平均して、一日20時間勉強した。一日20時間勉強すると決めたわけではない。やることをやっていると、結果的に寝る時間がなくなる。そんな感じだ。

寝る前に、起きてから一日でやる分量を決める。日本史なら適当にここまでと決めて、教科書の隅を折る。問題集も同じ。古文の単語は、100個ずつ覚える。こんな適当なやり方で、その日の計画を立て、それが終わるまでやる。終わらなければ絶対に寝ない。この繰り返しで、オレは4ヶ月勉強した。結果的に寝る時間がなくなるのは、当たり前だ。人が3時間でこなせる分量を、初めのころのオレは、15時間も20時間もかかったのだからしかたがない。

吉野さんの成績は、すこしずつ上がっていく。

やればやっただけ、結果が出る。

10月の終わりの模試では、偏差値25だった国語が52まで上がっていた。英語は相変わらずだったが、偏差値30に届いた。オレがさらに手ごたえを感じたのはそれからまた一カ月後の11月の終わりごろだ。とくに、古文に関しては、間題集をやっても、めったに間違えることはなくなっていた。

入試シーズンが近づくにつれてさらに成績を上げていった吉野さんは受験校を立教大学、明治大学、法政大学、国学院大学にする。

なんとたった4ヶ月の勉強で、この有名私立大学全てに合格した。そして「本気で古文を勉強したいのなら国学院がいちばんいい」と塾の先生にすすめられ、国学院に入学する。 大学卒業後は、代々木ゼミナールの講師としての採用試験に臨み、歴代トップの成績で採用されたのである。吉野さんの次の言葉はとても印象に残る。

そもそも、受験ほど向き・不向きがない世界もない。スポーツの世界と比べるとよくわかる。いつも運動会でビリをとっているヤツが、一年間で日本新記録を破ることはまず不可能だが、偏差値40くらいのヤツが一年間で早稲田や慶応に受かるまで力をつけることは十分に可能だし、事実そんなヤツもいっぱいいる。

受験というのは、受かるためにやるべきことというのがわかっていて、あとはそれを「やるか、やらないか」という単純な違いしかない世界だ。(中略)

受験で才能がどうだとか、頭がいい悪いだとか、勉強方法がどうだなどというのは、もっとずっと後の話だ。「やるか、やらないか」。まずは、ここから始まる。「頭が悪くて……」と言ってオレのところにくるヤツが10人いたら、まずその10人は、勉強をやっていない。本気でやりもしないで、オレのところにくる。

もっと言えば、その10人には共通点がある。飽きっぽいのだ。とにかく飽きっぽい。

受験の必勝法というものがただ一つだけある。それは、「飽きっぽい性格から、集中できる性格に変える」。これだけだ。と。

« 141 パラシュート部隊と実力テスト | トップページ | 143 小さなところでGOODになる~ビリー・ジョエルの言葉 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1419883/39993174

この記事へのトラックバック一覧です: 142 やるかやらないか~元暴走族の予備校講師・吉野さんの言葉:

« 141 パラシュート部隊と実力テスト | トップページ | 143 小さなところでGOODになる~ビリー・ジョエルの言葉 »

無料ブログはココログ