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2010年10月25日 (月)

019 勇者は凍てつく川に消えた

1982年1月13日午後、ワシントンは雪が降りしきっていた。 そのような悪天候の中でワシントン・ナショナル空港を飛び立ったフロリダ航空のボーイング機が上昇かなわず、凍てつくポトマック川に墜落してしまったのである。

そして、酷寒の救助作業の中で人々は見たのである。
二度も助かる機会がありながら、それを他人に譲って自分はついに水の中に消えてしまった、一人の中年男性の姿を。

墜落後、水面に浮かんだ尾部にしがみつくなどして6人の人が生存していた。
しかし、それぞれが腕や脚の骨を折っていたり、肺がつぶれていたり、かなりの傷を負っていた。その中に一人、他の人々より元気な中年の男性がいた。アーランド・ウィリアムズだった。

墜落現場は2つの端にはさまれて狭く、救助のヘリコプターも1機しかはいれなかった。ヘリコプターに用意された命綱は、最初1本だけだったのだ。まず、一人が引きあげられ、川岸まで運ばれた。ヘリコプターが2回目の救助にやってきた時、命綱はアーランドに向かって投げ下ろされた。

しかし、彼はそれを別の人に渡したのである。3回めの救助の際には命綱が2本用意された。この2本のうちの1本は、再びアーランドに向けて投げ下ろされた。それをつかんだアーランドは、またしても他人に渡してしまったのである。

もっともひどい傷を負っていた男性が自分の身体に巻きつけ、一人の女性をしがみつかせ、もう一人の女性が別の命綱につかまることができた。ところが、2人は女性は川岸にたどりつく前に再び冷たい川の中に落ちてしまった。

しかし、幸いにも救助隊員によって救助された。
そして最後に残った6人目の男、アーランドを救うべく、ヘリコプターは飛んだ。すでに墜落後30分になろうとしていた。
ヘリコプターの乗員は、彼をどうしても助けたかった。
しかしヘリコプターが現場に着いたときには、すでに男の姿はどこにも見当たらなかった。(『人間関係入門(ナカニシヤ出版)』初出は『リーダーズダイジェスト日本語版』vol37)

この話はもちろん実話である。この話は私にとっても印象に残っている。大学時代、教職課程の授業で大学の先生から教えてもらった話である。ある生活が荒れた少女にこの話を聞かせたら、その少女が涙を流して、「人間って信じれるんだ」と語った、とその先生は話してくれた。

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