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2010年10月22日 (金)

015 勇気の一瞬―線路に散った韓国人留学生がくれた感動

心が折れそうになったとき、勇気が出せないとき、君たちは自分自身を力づけるために、何か思い出すお話があるだろうか。

私は勇気が出せないとき、おっくうな気持ちになって何かあっても「見て見ぬふり」をしたくなったとき、次のお話を思い出して、自分を勇気づけて行動に移すことが多い。『勇気の一瞬―線路に散った韓国人留学生がくれた感動』(夫 址栄原著 小学館文庫編集部著 小学館)にあった次の一節を読んでほしい。

一瞬の出来事だった。一人の酔った男性がフラフラとプラットホームの端に近づくと、スーッと姿が見えなくなった。続いて二人の男性がホームから姿を消した。酔った男性が線路に転落したのを目撃した二人が、その男性を救おうと、何のためらいも見せずに、約一・三メートル下の線路に飛び降りたのだ。

だが、そのときすでにホームには電車が滑り込みはじめていた。電車が急ブレーキをかける音と、誰かの「危ない!」という声、女性の悲鳴が交錯した。

三人の姿は電車に吸い込まれていくように見えた。改札口から階段を上がってすぐのところだった。そして誰が着ていたのか、ダウンジャケットの白い羽毛が舞い散った。

JR山手線の新大久保駅で事故が起きたのは、二〇〇一年一月二六日のことだった。午後七時一五分ごろ、ホームには冷たい北風が吹いていたが、帰宅を急ぐ約二〇〇人の乗客でごった返していた。

駅員からの一一九番通報で、救急隊が現場に急行したが、最初に転落した男性の身元は、仲間が現場にいたことから、左官業の男性、N・Sさん(三七歳)であることがすぐ判明した。彼は後方の車両の真下で両脚大腿部を切断された上、脳挫傷ですでに絶命していた。

一方、助けに飛び込んだ二人も、救急隊員たちの手でホームに引き上げられたものの、全身打撲と顔面打撲により、すでに死亡していることが確認された。

二人のうちの一人は、神奈川県横浜市の住所が記載されている運転免許証を所持していた。カメラマン・関根史郎さん(四七歳)のものだった。だが、もう一人は身元を示すものを何も持っていなかった。新宿署では身元不明の犠牲者の確認を急いだ。

翌二七日になって確認された事実は、意外なものだった。身元不明の犠牲者は、台東区に住む韓国からの留学生・李秀賢(イ・スヒヨン)さん(二六歳)で、三人はまったく面識がなかったことが明らかになったのだ。偶然、新大久保駅に居合わせた関根さんと秀賢さんは、見知らぬ日本人男性を救うために線路に飛び降り、その尊い命を線路に散らしたのである。(『勇気の一瞬―線路に散った韓国人留学生がくれた感動』「プロローグ」夫 址栄原著 小学館文庫編集部著 小学館) 

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