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2010年10月11日 (月)

003 「ほんの小さなこと」から始めよう

セラピストの石井裕之さんが、引きこもりになってしまった30代の男性と社会復帰を目指したときのお話。

ボクは、彼に何ならできるのかを考えてもらいました。

「部屋を毎日掃除します」

「それ、本当にできるんですか? ボクのところは、約束を守ってくれないクライアントはすぐにクビにするよ」

「え、そうなんですか? それじゃあ、週に一度だけ家事の手伝いをします」

「絶対に約束できますか? たとえ四〇度の熱が出ても約束したことはちゃんとやらなきやいけないんだよ」

「え、そうなんですか? そんなこと言われたら、何もできないですよ……」

「できないことを聞いてるんじゃないんだよ。できることを開いてるの」

しばらくやり取りがあって、最終的には―、

「それじゃあ、トイレから出るときに、必ずスリッパを揃えます」

冗談ではありません。彼もボクも真剣そのものでした。もう三〇をとうに過ぎたこの男性との最初の約束は、トイレのスリッパを揃える―このひとつだけだったのです。(『ダメな自分を救う本』石井裕之著 祥伝社 p34)

このやりとりの後、男性の両親からは、うちの息子を馬鹿にしているのか、というクレームもきますが、この男性は、トイレのスリッパをそろえることを1週間続けました。そして・・・

一週間後、再びセラピーに来た彼が、ボクに何と言ったと思いますか?

「スリッパではもう物足りないです。新しい課題を決めましょう!」

そんなことを繰り返して、あっという間に半年が経ちました。

結果を知りたいですか?

彼はなんと営業の仕事をはじめました。周りは、急に無理をするなと止めましたが、驚いたことに彼は売って売って売りまくつたのです。しかも、その仕事の関係で知り合った女性と愛を育み、そして婚約したのです。

劇的な変化に思えます。ですが、彼にとっては、ただ小さなできることをやってきただけです。

スリッパを揃えること―つまり、できることからスタートしなかったなら、彼は「できないこと」ばかりを考え、今でも暗い気持ちで引きこもっていたことでしょう。(同書 p36)

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